井の頭公園で冬を思う(1) |
いつもは昼食を持って公園のベンチでのんびりと陽を受けながら過ごすのですが、樹木の葉が落ちることで寒さをより強く感ずるようになりました。
しかしこの日も池の北側では家族連れ、カップル、そして絵を描く方々が多く見られました。
南側は日陰になるので人の姿も少なく、風や冷え込みさえ気にならなければ人の会話を気にすることがありませんから、本をじっくりと読める場所として最適かもしれません。
少し前に読んだ本ですと、昔は池が凍ることが普通であり、スケートをする少年少女の姿が見られたそうです。どうも昭和10年代頃までの話のようです。
私の少年時代は木造住宅が圧倒的で、かつ昔の建築ですから機密性も低かったです。
試験管の中にミルクと砂糖を入れて就寝前に窓際に置いておくと、翌朝にはアイス・キャンデーができました。
道路もまだ砂利道ばかりで地面も広範囲に見えていましたから、冷え込んだ朝には数センチメートルにもなった霜柱が地面表層部を持ち上げるのです。
通学時にはそれをザクザクと踏んで登校せねばならず、運動靴の底には何層にも土が重なって付いたものです。
冬には必ず掌や指がアカギレになるのですが、入浴後にベルツ水を塗り手袋をして寝ると、翌朝には綺麗な掌になっているのが何とも不思議でした。
都内に転居してから生活様式が少し変わり、また自転車で寒風の中を走っているせいか密かに自慢していた掌や指がカサカサになっています。
尿素を含んだクリームを塗ってはいるのですが、なかなか元のようには戻りません。
いまの子どもたちはアカギレをつくっているのでしょうか?
掌を撫でながら今の子どもたちと昔の子どもたちを較べ、そしてベルツ水を塗ってくれた亡母のことを思い出したりしています。
Rolleiflex 3.5F Planar 75mm・f3.5 400TMY