武蔵野公会堂の記憶 |
この中にはもう40年ほど入ったことがないのですが、ここは当時市内唯一のイヴェント会場でしたから何度も出かけています。たしか市川崑『東京オリンピック』を観たのもここでした。
しかし私にとっては自分や兄妹、友人たちの音楽発表会に出向いた記憶のほうが強いです。
調べてみると竣工が昭和39年1月ですから東京オリンピックの年に完成し、発表会に足を運んだ頃、映画を観た頃はまだ新築当初の建物だったわけです。
私は小学校2年生から2年間だけヴァイオリンを習っていたのですが、ここで1回、あとは久我山で1回の発表会を経験しています。
2回目のときの演奏はレコード化されていて、兄のアコーディオン演奏と私のヴァイオリン演奏がそれぞれ片面に記録されています。まだ実家にあると思うのですが・・・
最初はせがんでレッスンを受けたはずなのに、やがて野球に興味が移り、4年生の頃にはもう練習するのも苦痛でならなかったことを覚えています。
レコードはその苦痛を思い出させるところがあって、なかなか気持ちよく聞けず、たまに母がプレーヤーに載せるのが堪らなかったような・・・
10代半ばで弾き始めたギターの方はレッスンを受けたこともなかったのですが、ヴァイオリンと異なり時間があればとにかく練習をしたのを思い出すと、その差は一体何だったのだろうかと首を傾げてしまいます。
そんなギターも一昨年に患者仲間と土佐に出かけたときに久しぶりに弾きはしましたが、いつもは部屋の隅に立てかけられたままです。
渦中にいると見えないことも時間が経過したり、目線の高さを変えることで見えてくることがあります。
少なくとも武蔵野公会堂の舞台は私には苦痛な思い出で、後年ギターで舞台に立ったときの緊張感がありながらも快い気分になれるということが、この頃にはまったく判らなかったのでした。
写真は武蔵野公会堂の近くにある店舗の植栽。
Rolleiflex 3.5F Planar 75mm・f3.5 400TMY